特定技能のビザを申請するための条件
特定技能の在留資格を取得する主なルートは、以下の2つになります。
(1)特定技能試験と日本語能力試験に合格すること
(2)技能実習2号を取得すること
それぞれについて詳しく解説します。
特定技能の取得条件
特定技能1号の在留資格を得るには、即戦力としての知識や技能を証明する2種類の試験に合格しなければなりません。
そのうちの1つが、日本政府より特定技能外国人の受け入れが認められている14の業種で、それぞれの業界団体が作成する特定技能評価試験です。
特定技能評価試験は、就労を希望する業種で働く上で必要とされる基礎的な知識や能力を証明する試験です。
2019年7月21日現在、介護業と宿泊業、外食業の3業種のみ実施されており、残りの11業種については、詳しい日時は未定ながら年度内の試験実施が予定されています。
即戦力としての能力を証明するもう1つの試験が、日本語試験です。試験には2種類あり「国際交流基金日本語基礎テスト」でA2以上の等級にクリアすること、もしくは「日本語能力試験」でN4以上のレベルに合格することのどちらかが資格取得の条件です。
技能実習から変更する際の条件
試験を受ける他に、従来の「技能実習」から特定技能に在留資格を切り替える方法もあります。
現行の制度では、技能実習には実習開始1年目の「技能実習1号」と2・3年目の「技能実習2号」4・5年目の「技能実習3号」の3種類の資格があります。
このうち、技能実習2号と3号については、技能評価試験と日本語試験免除で特定技能1号を取得することが可能です。
技能実習で最長5年、特定技能1号で最長5年、最大で日本に10年滞在する選択肢が生まれたことに。さらに在留資格を「特定技能2号」や「介護」に切り替えることで、永住権の取得を目指すこともできます。
なお、特定技能2号については、現在建設業と造船・船用工業の2業種のみに認められています。熟練の技能を持つ労働者のみが取得できる高難易度の資格で、できたばかりのため、試験は2019年7月21日現在実施されていません。
特定技能におけるビザの申請方法
2つのうちどちらかの条件をクリアした外国人は、どのように就労ビザを取得すればよいのでしょうか。ここでは、ケース別に特定技能ビザの具体的な申請方法を解説します。
海外から外国人を受け入れるケース
ビザの発給を受けるには「在留資格認定証明書」が必要です。本人の代わりに外国人労働者を受け入れる企業や団体が申請することができます。
その場合、まずは受け入れ先企業が「在留資格認定証明書」を外国人労働者の居住予定地、または受け入れを予定する職場の所在地を管轄する「地方入国管理官署」へ申請しましょう。
書類の申請には、本人の顔写真(申請前3カ月以内に撮影されたもの)や身分証明書等が必要です。あらかじめ入手しておいてください。
書式は法務省のホームページからダウンロードすることができます。書類の交付には、申請開始から標準で1~3カ月程度かかるため、余裕をもって提出しましょう。
※法務省ホームページ・在留資格認定証明書交付申請
「在留資格認定証明書」が交付されたら、雇用を予定している外国人の元へ、書類を送付します。その後、本人にその国にある日本大使館もしくは領事館でビザ発給の手続きをしてもらってください。
「在留資格認定証明書」は交付から3カ月しか有効期間がないため、早急に手続きを行うことが大切です。
日本に滞在している外国人を受け入れるケース
すでに、日本に滞在している外国人を特定技能外国人として受け入れる場合、日本滞在に使用しているビザを特定技能に切り替える必要があります。
まずは採用活動を行い、特定技能外国人として雇い入れる人材と雇用契約を結びましょう。
採用の手段には、ハローワークや外国人人材紹介業者、通常の求人サイトの利用などがあります。
採用する外国人が決まったら、次に「特定技能雇用契約」を結びます。この契約は通常の雇用契約と違い、外国人労働者の支援に関する約束事などが盛り込まれています。
そのため、雇用に当たっては、支援計画の策定や支援体制の準備などが必要です。一般の企業がこれらをすべて自社で行うのは困難であるため、通常は特定技能1号外国人の支援を専門に行う「登録支援機関」に業務を委託します。
登録支援機関の力を借りて「1号特定技能外国人支援計画」を作成したら、いよいよ在留資格の切り替え手続きです。
「在留資格変更許可申請」を地方入国管理官署に申請し、必要書類を揃えて提出してください。(書類の書式は法務省のホームページよりダウンロード可能)
審査に通ると、在留資格の変更が完了します。特定技能1号に変更したカードを受け取り、就労を開始しましょう。
特定技能のビザ申請をするときの注意点
特定技能ビザの申請に当たっては、注意点がいくつかあります。
1つが、受け入れ予定の外国人が所持する在留資格を必ず確認することです。永住者を除いて、在留カードを所持していない場合、会社に雇用することはできません。
また、在留資格が就労の条件とそぐわない場合も雇用できないため、事前に在留資格を確認し、必要があれば資格の変更手続きを行いましょう。
また、特定技能1号の外国人を雇い入れる場合、受け入れ先企業は、当該の外国人が日本で安心して暮らせるよう、日本における生活全般のサポートを行う義務を負う点にも注意が必要です。
しかし、現実的には生活支援全般を企業単独で行うことは難しいため、登録支援機関の助けを借りながら支援を行いましょう。
さらに、特定技能外国人の採用に当たっては、労働条件について、日本人労働者と差異のないよう配慮しなければなりません。なぜなら、特定技能雇用契約では、日本人を雇う場合と同等の労働条件で雇用することが定められているためです。
ビザ申請が不安な方は専門家に相談
現実問題として、他の業務を抱える一般の企業担当者がビザ申請の段階から外国人労働者のサポートを行うのは、非常に大変です。
法律や制度についての専門知識が必要となるため、無用なトラブルを防ぐためには、専門家に依頼するのが最も安全です。専門家に任せることで手続きがスムーズに進むため、外国人労働者の受け入れ計画も立てやすくなるでしょう。
その場合、ビザ申請の業務を委託するのは行政書士になります。なかには、ビザ申請に特化した行政書士事務所があります。知識や実績が豊富な行政書士事務所を選びましょう。
まとめ
特定技能を取得するには、技能評価試験と日本語試験に合格するか、技能実習2号になる必要があります。
さらに、特定技能外国人が日本に入国し、就労する場合、目的に合った在留カードを持っていなければなりません。
在留資格(ビザ)の申請方法は、海外から外国人を呼び寄せる場合と、すでに国内にいる外国人を雇用する場合で大きく異なります。
いずれの方法も法律や制度が関わってくるため、行政書士に業務を委託することが安全で確実です。