技能実習生から特定技能へ変更!特例措置について解説

外国から技能実習生を受け入れていると、優秀な実習生にもっと長くいてもらいたいと思う企業も多いのではないでしょうか。新たな在留資格「特定技能」に変更することで、それを実現させることができます。今回は「技能実習生」から「特定技能」に変更するための特例措置について解説いたします。

この記事は約7分で読み終わります。

「技能実習生」から「特定技能」にする「特例措置」って?

「技能実習生」を新たな在留資格「特定技能」に変更できることはご存じでしたか?実は、特例措置を利用すれば変更可能です。

在留資格を「特定技能」に変更

今まで、外国人を技能実習生として受け入れ、お互いによい関係を作ってこられた企業は大変多いと思います。とはいっても、風習や価値観が違う外国人とのコミュニケーションには、困難やトラブルもあることでしょう。

しかし中には、期間満了まで真面目に働いた実習生もいるはずです。こういった実習生は、技術面でも精神面でも大きく成長し、この先も会社に貢献してもらいたい、というケースもあることでしょう。

しかし技能実習生という在留資格では、期限が満了すると必ず帰国しなければなりません。こういった方を、この春に新設された「特定技能」という在留資格に切り替えることで、雇用することができるのです。

「技能実習生」から「特定技能」に切り替えるにあたって、時間がかかる場合があり、その間に外国人が在留資格を失ってしまうと日本に滞在することができません。

そうならないためにも、特例措置があるのです。対象者は、技能実習2号、または3号を修了した方で、2019年9月までに在留期間が満了する方となります。つまり在留期間の終了が近い技術実習生がその対象というわけです。

別の外国人人材を「特定技能」で雇用するのに比べ、すでに職場になじんでいる技能実習生を特定技能に変更するほうがリスクは少ないでしょう。

特例措置により許可される在留資格と期間

「技能実習生」が「特定技能」に移行する場合の特例措置として、「技能実習」終了後から「特定技能」取得までの移行期間に「特定活動」という在留資格を与えられます。移行までの猶予期間、準備期間といったところでしょうか。この間に就労することも可能です。

期間は4か月で、原則として更新はできません。「特定活動」の申請が通ればその期間中も就労可能です。

なお「特定活動」の申請中に技能実習の在留期限が到来してしまった場合、審査結果がでるまでは在留することができますが、その期間中は就労することはできません。できるだけ速やかに「特定技能」への移行手続きを終えるようにしましょう。

目次へ

特例措置が適用される外国人

では、特例措置が適用される実習生について詳しくみていきましょう。

対象者となる人

対象者は以下の通りです。
■技能実習2号で在留した経歴を有していること
■現在「技能実習2号」「技能実習3号」「特定活動」のいずれかにより在留中であること
■2019年9月末までに在留期間が満了すること

上記の方は、一定期間日本で技術を習得し、日本語レベルも一定水準以上に達しているとみなされます。そのため「特定技能」の要件である、技術力と日本語能力を有しているものと判断できるのです。

在留資格が許可される要件

この「特定活動」という在留資格が許可されるためには、法務省の定める8つの要件があります。

1.従前と同じ事業者で就労するために「特定技能1号」へ変更予定であること
2.従前と同じ事業者で従前の在留資格で従事した業務と同種の業務に従事する雇用契約が締結されていること
3.従前の在留資格で在留中の報酬と同等額以上の報酬を受けること
4.登録支援機関となる予定の機関の登録が未了であるなど,「特定技能1号」への移行に時間を要することに理由があること
5.「技能実習2号」で1年10か月以上在留し,かつ,修得した技能の職種・作業が「特定技能1号」で従事する特定産業分野の業務区分の技能試験・日本語能力試験の合格免除に対応するものであること
6.受入れ機関が,労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
7.受入れ機関が,特定技能所属機関に係る一定の欠格事由(前科,暴力団関係,不正行為等)に該当しないこと
8.受入れ機関又は支援委託予定先が,外国人が十分理解できる言語で支援を実施できること

(引用:法務省「在留資格「特定技能」へ変更予定の方に対する特例措置について」

「特定技能」へ移行した後でも、同じ事業所で、同種の業務に従事させることが必要です。また、当然のことですが、受け入れ側には労働、社会保険、税制面での法令を遵守することが求められます。

なお、特定技能に移行すると、日本人と同等の報酬で雇用し、外国人であるという理由によって福利厚生面でも差別してはいけないという決まりがあります。実習生より待遇がよくなることによって、外国人労働者のモチベーションが上がることが期待されるでしょう。

目次へ

特例措置に向けて何を準備すれば良いか?

次に、特例措置を受けるにあたって必要な準備についてご説明いたします。

特例措置の申請手続き

申請手続きの受け付けはすでに始まっており、地方入国管理局に申請することになります。申請手続きには以下の6つの書類が必要です。

1.在留資格変更許可申請書(U(その他))
2.受入れ機関の誓約書
3.「特定技能1号」へ変更するまでの雇用契約に関する書面(雇用契約書,雇用条件書等の写し)
4.申請人に係る従前の賃金台帳の写し(過去1年分)
5.受入れ機関が作成した理由書(「特定技能1号」への在留資格変更許可申請までに時間を要する理由(登録支援機関となる予定の機関の登録が未了であるなど),同申請が可能な時期の見通し,「特定技能1号」での活動予定内容等を記載したもの)(任意様式)
6.「技能実習2号」で修得した技能が「特定技能1号」で従事する特定産業分野の業務区分の技能試験及び日本語能力試験の合格免除に対応することを明らかにする資料(技能実習計画書の写し,技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験の合格証)
(注1)申請書には申請人の顔写真を貼付する必要があります(規格等については,在留資格変更許可申請のページを参照願います。)。
(注2)申請に当たっては,申請人の在留カード又及び旅券の提示が必要です。

(引用:法務省「在留資格「特定技能」へ変更予定の方に対する特例措置について」

フォーマットは法務省のウェブサイトからもダウンロードできるものもありますので、確認しましょう。

特例措置について相談できるところなどはあるのか?

ここまでおおまかに解説させていただきましたが、様々な書類の準備に手間取りそうだという方もいらっしゃるでしょう。

特例措置の申請に関して疑問点や不明点を解消するために、専門家を利用するのもひとつの手です。外国人労働者の雇用を専門とする行政書士に相談すると、特例措置の申請だけにとどまらず幅広い情報やアドバイスを得られるかもしれません。

上でご説明した通り、特例措置の対象になる技術実習生の在留期間は2019年9月末までの方です。ですから、この制度に興味があるけれどもわかりづらくて迷っているという方は、ひとまずは早急に専門家に連絡をとってみることをおすすめします。

また、特定技能に移行したあとには、企業側に外国人労働者の生活面でのサポートなどをはじめとした、支援義務というものが生じます。これらについても専門家のサポートがあるとスムーズに実施しやすいでしょう。

法務省の資料「新たな外国人材の受け入れについて」の参考資料ページには、特定技能に関する全国の問い合わせ先が紹介されています。これらを参考にしながら最新で、正確な情報収集をするのもよいかもしれません。

目次へ

まとめ

技能実習生から特定技能への変更についての流れはお分かりいただけたでしょうか。技術を習得し日本の生活にも慣れた技能実習生に、少しでも長く働いてもらいたいというのは経営者として当然の希望でしょう。ぜひ積極的に特例措置を利用して、スムーズな人材確保に努めていただきたいと思います。