外国人のアルバイトを特定技能の在留資格で正社員にする方法

日本では深刻な人手不足から、外国人を雇用する企業が増加しています。特定技能の資格を取得すれば、外食業や宿泊業など、さまざまな業種で外国人を迎え入れることができます。 すぐにでも外国人を雇いたい、または優秀な外国人アルバイトを引き続き雇用するために、正社員にしたいと考えている人事の方も多いのではないでしょうか。 今回は、優秀な外国人アルバイトを雇い、特定技能の在留資格で正社員にするまでの流れを詳しく解説します。

この記事は約6分で読み終わります。

特定技能の内容と条件

特定技能の資格を取得するためには、さまざまな条件があります。外国人アルバイトを正社員にしたいと思っても、その内容や条件を理解できず悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、特定技能の内容や条件について説明します。

特定技能とは?

特定技能とは、企業の人手不足に対応するために新設された資格です。日本で働きたいと考える外国人を積極的に採用し、即戦力として受け入れる狙いがあります。また、従来の在留資格に当てはまらなかった業種にも対応していることから、広い範囲の分野で雇用できるようになりました。

特定技能では労働できる職種が決まっています。2021年現在では、外食業や宿泊業、建築業、介護など14の職種で単純労働が可能です。

特定技能の条件

今まで、外国人労働者の受け入れにあたり、不法就労や不法滞在、失踪、在籍管理の甘さなどが問題となってきました。そのため、新たに追加された特定技能には、さまざまな条件が設けられています。

特定技術1号

特定技術1号を取得するためには、日本語能力検定と分野別の特定試験に合格する必要があります

基本的には検定や試験への合格が必要ですが、技能実習生2号を修了していれば、どちらも免除されます。

しかし、家族を帯同することは認められておらず、更新を繰り返しても最長5年の期限が設けられています。

特定技術2号

特定技術2号は、特定産業分野で「熟練した技能を有する業務」に従事する外国人にむけた残留資格です。

1号とは異なり、家族との帯同が可能です。また、更新はありますが在留期間の上限は設けられていません。(一定の条件を満たせば永住申請も可能です。)

特定技術は1号、2号ともに正社員での雇用しかできません。基本的には、申請した分野以外の業種に携わることはできませんが、試験などにより技術水準の共通性が確認される場合は、同じ業務区分で転職できます。

そのため、採用すれば制度的にずっと雇い続けられるわけではなく、働きやすい環境を整え、長く勤務してもらえる企業努力が必要です。

目次へ

アルバイトが取得できる在留資格は?

特定技術は、外国人労働者の正社員採用に対応できます。では、アルバイトの採用に必要な在留資格は、どのようなものがあるのでしょうか。簡単に解説します。

無条件で可能な在留資格

外国人が日本でアルバイトをする場合は、なんらかの在留資格を所有していなければなりません。そのなかでも、永住者や定住者としての資格を取得している外国人は、就労制限なくアルバイトを行えます

永住者…永住権を得た外国人のことで「原則10年以上日本に在留していること」などの条件が設けられています。定住者…日本人と結婚した人や、定住者の実子などを指します。在留期間に定めがあるため、更新が必要ですが就労制限はありません。

条件付きで可能な在留資格

同じような在留資格であっても、アルバイトに条件が課される場合もあります。例えば、留学で日本を訪れる外国人は、教育を受けることが目的として滞在を許可されています。

そのため、アルバイトを行う場合は「資格外活動許可」を取得したうえで、1週間で28時間以内の労働時間の規定を守らなければなりません。また、パチンコやキャバレーなどの風俗営業関連の仕事も禁止されているので注意しましょう。

ほかにもワーキングホリデーなどの特定活動や、家族滞在を理由とした在留資格がありますが、それぞれ就労制限が設けられていますので確認しておきましょう。

原則として不可能な在留資格

在留資格のなかには、原則としてアルバイト不可と決められている場合もあります。短期滞在を条件に在留資格を申請している場合は、観光目的での入国を許可ですので就労は認められません。

そのほか、技術実習での滞在は、資格外活動が許可されていないため、同じく就労は不可となっています。また、前述した特定技術に関しては、正社員のみに適用されるため、アルバイトは認められていません。

外国人が日本でアルバイトをするには、永住者や定住者としての資格や、資格外活動許可を取得する必要があります。

目次へ

特定技能で正社員にするまでの流れ

外国人労働者のなかでも、優秀な人材は正社員として雇用したいと考えている担当者は多いはずです。

前述したとおり、特定技能試験の合格、技術実習2号を修了した外国人は、日本で正社員として働くことのできる「特定技能」を取得できます。

そこでここからは、特定技術で正社員にするまでの流れを説明します。

雇用契約を提携する

特定技能の条件を満たしたのち、企業との雇用契約を結びます。外国人を正社員として迎えるには、日本人と報酬額が同等以上であることや、支払金額が明確に分かるよう銀行口座への振込を行う必要があります。

また、社会保険の加入や租税に関する法律を守っているかなど、受け入れ機関側が満たすべき基準が設けられています。

1号特定技能支援計画を作成する

特定技能で外国人を雇用する場合は、職場での生活や日本での暮らしを支援しなければなりません。

主な支援内容としては、オリエンテーションの実施や、住居の確保、日本語の習得、各種行政手続きなど多岐に渡ります。

また、雇用後も定期的な必要書類の提出が義務付けられています。採用した企業が作成してもかまいませんが、企業に代わって支援計画の作成や実施を行う「登録支援機関」への依頼も可能です。登録支援機関は、特定技能外国人の支援や難しい手続きを一括して委託できます。

また、特定技能外国人の受け入れ体制を整えた業界や民間法人が登録できます。

地方出入国在留管理局へ申請

採用に関する必要書類を揃えたのち、地方出入国在留管理局への申請を行います。もちろん、登録支援機関が代理で取り次ぐこともできます。審査に合格すれば、晴れて特定技能での受け入れが可能になります。

審査に合格したあとは、外国人労働者本人が、日本大使館に査証を申請してカードを発行してもらう流れになります。

目次へ

まとめ

今回は、特定技能によって外国人を正社員雇用する方法を解説しました。グローバル化が進む近年、日本で外国人が働くことは珍しくない時代になりました。優秀な外国人であれば、在留期間を気にすることなく正社員として採用を考える企業も多いでしょう。

特定技能の新設により、多くの職種での就労が認められるようになりました。外国人労働者の増加は、日本企業が悩む人手不足解消への手助けとなるはずです。

より多くの特定技能外国人を迎え入れるためにも、条件や手続き方法を勉強しておきましょう。