特定技能外国人を雇う際は生活オリエンテーションは必須!詳細な内容

近年では、さまざまな業界で特定技能外国人を雇う企業が増えています。特定技能外国人を雇う際、生活オリエンテーションを実施する必要がありますが、どのようなことを行ったらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。 この記事では、特定技能外国人に対する生活オリエンテーションの内容について詳しく解説していきます。

この記事は約6分で読み終わります。

特定技能外国人労働者に行う生活オリエンテーションとは?

特定技能外国人労働者に行う生活オリエンテーションとは、特定技能外国人労働者が日本で快適に生活でき、問題なく労働ができるように必要な情報提供を行うものです。

簡単にいえば、日本で生活する上で知っておかなければならないルールの説明会のようなものになります。

日本人には当たり前のことでも、はじめて日本を訪れる人にとっては知らないことも多いですよね。ルールを知らなかったことでトラブルに巻き込まれたり、仕事や生活面で困ったことが起きたりしないように、事前に説明するのが生活オリエンテーションの役割です。

生活オリエンテーションを実施する際は、特定技能外国人の方が理解できる言語で最低8時間以上行う必要があります。

技能実習生から特定技能1号に移行した方に対しては、これまでも日本で生活してきているため、多少時間が短くなっても良いとされています。ただし、実施時間が4時間未満の場合、適正にオリエンテーションが行われたと認められないことがありますので注意しましょう。

言語に関しては、特定技能外国人の日本語能力が高い場合を除き、その方の母国語で行います。母国語で行う理由は、オリエンテーションでの説明を十分に理解してもらうためです。

オリエンテーションの実施後は、該当する特定技能外国人労働者から「生活オリエンテーション確認書」に署名してもらう必要があります。

また、オリエンテーション後も定期的なオリエンテーションを実施し、あらためて面談内容を提供しなければなりません。日本で暮らすために知っておくべき情報はたくさんありますので、一度のオリエンテーションでは特定技能外国人労働者が完全に理解できないからです。

では次に、生活オリエンテーションで特定技能外国人労働者に伝えるべき内容を見ていきましょう。

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生活オリエンテーションの具体的な内容

特定技能外国人労働者が日本での生活に困らないように、生活オリエンテーションでは以下の項目について説明をしていきます。

手続き関連

手続き関連では、まずは在留カードに関わる情報共有を行います。在留カードには有効期限があること、常に携帯する必要があること、紛失した場合にはすぐに再交付申請を行う必要があることを伝えましょう。

また、在留期間の更新を滞りなく行うために、在留期限の確認を行います。ただし、滞在中の行動によっては在留期間の更新が難しくなる場合があるため、行動面での注意事項を説明しましょう。

住民票の作成や引っ越し手続きの方法など、市区町村への手続きの案内も実施します。日本になれていない方には、やり方を伝えるだけではなく、一緒に市区町村の窓口に出かけて手続きを行うといいですね。

雇用関連

雇用関連に関しては、在留資格別の働き方と雇用形態の説明を行います。在留資格で働ける業種、派遣・パート・契約社員といった雇用形態の違いなどを説明しましょう。

また、日本で働く際の基本的な情報として、法律で決められている労働時間、休憩時間、休日についても説明が必要です。

そのほかにも、健康保険料や厚生年金、所得税や住民税が給与から天引きされることも忘れずに伝えましょう。

住民税に関しては、日本に来たばかりで前年度の給与所得がない場合、2年目から納付することも説明しておくと特定技能外国人の方も安心です。

緊急時の対応関連

日本は地震や自然災害の多い土地であるため、災害が起きたときの連絡先や対策を事前に伝えておきましょう。特定技能外国人の方が住む地域の避難所、交番などは実際に訪れて場所を確認しておくと安心です。

トラブルや困ったことが起きたときのために、110番、119番の連絡の仕方も伝えます。また、気象情報や災害に関する情報を調べる手段として、外国語に対応しているWEBサイトやアプリの存在も一緒に教えてあげましょう。

急病になったときのために、外国人の方を受け入れられる病院や、通訳の方がいる病院がありますので、お住まいの近くにある該当の病院まで足を運んでみてください。

症状別による病院のかかり方、受診する際は保険証が必要なことなど、病気になったときの対応方法についても説明を行います。

生活関連

生活関連では、日本で生活するために必要なルールについて説明をします。

預貯金口座の開設や携帯電話の契約などは契約の場に立ち合い、使い方も含めて支援を行いましょう。

住宅を借りる場合は、住宅のタイプや借り方などを伝えます。さまざまな外国語で作られた資料もありますので、ぜひ活用してみてください。

ゴミ出しのルールや自宅での過ごし方など、近隣住民とトラブルを起こさないために、生活上で必要なマナーも忘れずに伝えます。ゴミ出しに関しては、お住まいの地域によってもルールがそれぞれ異なりますので、事前に調べておくと良いでしょう。

交通ルールも国によって大きく異なるもののひとつです。

自動車やバイクを運転するためには運転免許証が必要であること、歩行者が優先であること、歩行者は右側を、自動車は左側を通行することなど、基本的な交通ルールを説明します。

相談先関連

生活面や仕事上で困ったことがあったときに相談できる公的機関や連絡先について伝えましょう。

まずは、会社の中で特定技能外国人労働者をサポートしている担当者の名前、連絡先、メールアドレスを伝えます。

公的機関の相談先としては、警察、ハローワーク、地方出入国在留管理局、大使館、領事館などがありますので、それぞれのお悩みにあった窓口を特定技能外国人の方に紹介してあげましょう。

また、特定技能外国人の方も日本の年金に加入する義務がありますので、年金に関する制度や相談窓口についても説明しなければなりません。

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生活オリエンテーションを行う時期・方法

最後に、生活オリエンテーションを行う時期や方法について見ていきましょう。

生活オリエンテーションを行う時期

生活オリエンテーションは、特定技能外国人労働者が日本へ入国後すぐに行います。技能実習生から特定技能1号に移行した方の場合は、在留資格の変更許可を受けた後、速やかに行います。

生活オリエンテーションをすぐに行わなければいけない理由は、外国人労働者が日本での生活・労働を円滑に行うためです。

入国後、会社で働きはじめるまでに多少の時間があったとしても、生活は入国したその日からはじまりますので、早い段階での実施が求められます。在留資格が変更した方に対しても同様に、速やかに生活オリエンテーションを実施しましょう。

生活オリエンテーションの方法

生活オリエンテーションを行う方法として、以下のような手段があります。

・対面
・ZOOMのようなテレビ電話
・動画視聴

あらかじめ準備しておいた動画を視聴してもらうことも可能ですが、特定技能外国人労働者の方がわからないことを質問できるように、コミュニケーションを取れる方法も確保しておきましょう。

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まとめ

特定技能外国人に対する生活オリエンテーションについて、具体的な内容と実施する時期について詳しく解説してきました。

生活オリエンテーションは、特定技能外国人の方が日本での生活や仕事を安心して行えるように、知っておくべき情報を伝える機会です。

伝えなければならない内容は多岐に渡ります。生活オリエンテーション後も定期的に面談を行い、特定技能外国人の方が理解できるようになるまでサポートを行いましょう。