「外国人材の受入れ」が大展開!どうなる各業界の人材不足問題

日本企業の深刻な人材不足において、解決する兆しがあらわれました。在留資格「特定技能」が新設されて、外国人材の受入れが拡大する方向に動きだしました。 「特定技能」は、外国人材を受入れる上で、どのような変化をもたらすのでしょうか。 ここでは「特定技能」について基本的な内容と特徴について解説をします。 新たな外国人材の受入れによって、日本における労働問題は、本当に解消されるのでしょうか。今後の見通しについても説明します。

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日本で拡大する「外国人材の受入れ」


日本で拡大する「外国人材の受入れ」について、あらかじめ知識として知っておきたいことを解説します。

34万5150人を受け入れる方針とは

日本政府は出入国管理法改正案に基づく新制度で、外国人人材の受け入れを拡大すると公表しています。

2019年から初年度で最大4万7,550人、5年間を通して最大で34万5150人を受け入れる試算を提示しています。

受け入れが進められるのは、建設業や介護、外食産業など、深刻な人材不足に陥っている業種です。該当する業種では、5年後には、145万人もの労働力が不足すると予測されています。

海外から人材を受け入れても、充足には達しませんが、ビジネスを持続させるために不可欠な存在です。

新しい在留資格「特定技能」の取得にむけて必要な技能試験や、労働環境・条件の整備など、受け入れのための準備を加速させています。

「特定技能」については、どのように活かすべきか、業種・企業によっては対策が不十分なところも少なくありません。受け入れを成功させるために、まず受け入れに関して知識を深めておくべきでしょう。

日本における人材不足問題とは

重大とされる日本の人材不足ですが、問題はどこにあるのでしょうか。

厚生労働省の調査では、「年齢にかかわらず、3~4割が1年以内に離職するなど、かなり早い段階で離職が生じている」ことが発表されています。

さらに「離職の理由については、年齢や企業規模を問わず、重要な要素は「賃金」と「労働時間」であるが、大企業の若手では特に「労働時間」を理由 とする離職が多い」ということで、賃金・長時間労働・離職率の高さが絡み合うことで、人材不足が慢性化していると考えられます。

(引用:厚生労働省 人手不足の現状把握について

少子高齢化で生産年齢人口(15~64歳)が減少していることも関係しています。人手が枯渇することで、企業の売上の機会損失となっていることは否めません。

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新在留資格「特定技能」について


新在留資格として新設される「特定技能」について、詳しく解説します。

新設される「特定技能」とは

「特定技能」が、2019年4月から新設されます。法務省では、受け入れる外国人の条件を、以下のように定めています。

・相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格「特定技能1号」と,同分野に属する熟練した技能を要する 業務に従事する外国人向けの在留資格「特定技能2号」を新設する

・ある程度日常会話ができ,生活に支障がない程度の日本語能力を有することが基本

(参照 法務省 新たな外国人材の受入れに関する在留資格「特定技能」の創設について

「特定技能1号」の修了者が、試験をパスすると「特定技能2号」に進むことができます。それぞれの違いを明確にしておきます。

「特定技能1号」で定められた最長滞在年数は5年。「特定技能2号」では永住が可能です。「特定技能1号」は、即戦力となる単純労働者の受け皿として設けられている一方、熟練度の高い人材のために「特定技能2号」が創設されました。

「特定技能」1号と2号の比較

就くことのできる業種は、「特定技能1号」が14業種、「特定技能2号」が2業種を対象としています。

「特定技能1号」で対象となる14業種は、以下の通りです。

(1)建設業
(2)造船・舶用工業
(3)自動車整備業
(4)航空業
(5)宿泊業
(6)介護
(7)ビルクリーニング
(8)農業
(9)漁業
(10)飲食料品製造業
(11)外食業
(12)素形材産業
(13)産業機械製造業
(14)電気電子情報関連産業

「特定技能2号」で解禁されるのは、以下の2業種です。

(1)建設業
(2)造船・舶用工業

(参照 新たな外国人受入れについて )

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日本における労働問題のこれから


「外国人材の受入れ」によって、日本における労働問題は、今度どうなるのかを解説します。

各産業での見通し

建設業・ビルクリーニング・農業を事例に、各産業における見通しを説明します。

・農業分野

2019年から5年間で、最大3万6,500人の受け入れを見込んでいます。

「技能実習」修了して「特定技能1号」に試験なしで移行できる元実習生は、すでに約6万8,000人います。現実的には元実習生の受け入れから着手されることが想定されるでしょう。

新資格試験は2019年に、国内外で開始が予定されています。現場ですぐ農作業に携われるように、実践的な知識について出題されます。分野は、水稲や畑作といった耕種と畜産の2つの部門。農薬や肥料の使い方、適切な水やりや収穫の時期に関する問題が出される予定です。

・建設業

14業種のうち、人材不足が著しい業界です。2020年に開催を予定している東京オリンピック・パラリンピックに向けて、建設需要が高まっているからです。

5年間で、人手不足となるのは21万人と予測されています。「特定技能1号」で受け入れを見込んでいる人数は、最大4万人です。

大手ゼネコン系の団体によって、新資格試験の実施や求人募集をするために、新組織が共同設立される予定です。業界が一体となって、採用や労働環境の改善に向けて、一致団結していることが特徴として挙げられます。

外国人労働者を雇用しても、欠員を解決することは難しい建設業ですが、早急に受け入れ体制を構築していくべきでしょう。

・ビルクリーニング

最大3万7,000日を受け入れる予定のビルクリーニング。「建築物衛生法」の適用対象である特定建築物が増えているため、人材の補填が急募される業種です。

「技能実習」からの移行も可能ですが、移行をする外国人は少ないことが予測されています。

全国ビルメンテナンス協会が試験を担当します。国家試験の「ビルクリーニング技能検定」や「技能実習」向けの試験を軸にした「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」が用意されています。

労働問題の未来について

さいごに労働問題の未来について言及します。

多くの労働力が海外から輸入されることで、さまざまな問題が懸念されています。

たとえば、以下のようなことがあげられます。

・日本人の所得の低下
・日本人の雇用の減少
・健康保険・社会保険の整備しないことでこうむる損失の可能性

外国人の人材を、脅威として捉える見方が広まっています。損得感情だけでは善悪の判断はできませんが、リスクに対して回避する術をあらかじめ考えておきたいところです。

不安を払拭しきれないのは日本人だけではなく、外国人も同様です。言語や文化、宗教の壁で悩まされることは、目に見えています。

仕事をする職場、居住をする地域社会において、どうすれば地域住民と一緒に共生できるのかが課題となるでしょう。

今まで外国人を受け入れたことのない企業や地域では、真剣に考えておく必要があります。例えば、特定の国家や民族に対する差別感情がある場合、どのように受け入れたら良いでしょうか。治安については、どうやって悪化を防ぐことができるでしょうか。

人手不足が解決したとしても、ほかの場面で問題が生じてしまっては意味がありません。目先になる労働力の改善だけではなく、幅広い視点に立って、外国人労働者の受け入れをする必要があります。

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まとめ

外国人材の受入れについて、基本的な理解をしておくために、抑えておくべきポイントを紹介しました。

「特定技能」とひと言で表しても、業種ごとに焦点にすべきことは異なることがわかります。活かし方も、業界によって特徴があります。

現状とこれからの見通しを把握しながら、客観的な視点に立って外国人の受け入れ問題に取り組んでいきましょう。